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武田 剛

  • FHA上級シューフィッター(上級シューフィッター)
  • シューフィッター養成講座実技指導員

子供のサッカーシューズは足を育てるのか(2022/07/27)

小学校のグランドの近くを通ると子供たちが一生懸命にサッカーをしている光景を良く目にします。

ふとその子供たちの足元に目をやると、色とりどりのサッカーシューズが輝いています。最近のサッカーシューズは本当にかっこいいものが多いですね。子供たちも自慢げに履いています。

さて、この人気のサッカーシューズですが子供たちの足にどのような影響を与えるか考えたことはあるでしょうか。今回は少しサッカーシューズについて話をしていきたいと思います。

サッカーシューズはとても人気があり、普段から履いている子供たちも多いのではないでしょうか。はたしてサッカーしない時にサッカーシューズを履いても問題はないのでしょうか。それに疑問を持たれている方もいるかと思います。

そのことに関して私は特に問題はないと考えています。しかし、その時に注意して頂きたいことがありますので、説明させて頂きます。

サッカーシューズには大きく分けて2つの種類があります。

1つ目が靴裏に樹脂などで作られたポイントという大きな突起があるタイプでスパイクという種類です。スパイクは基本的にグランドでのみ使用するもので普段に履くには適しておらず危険です。

もう一つがトレシューと呼ばれるトレーニングシューズです。

こちらの靴裏は主にゴム製の小さな凹凸があり土のグランドなどでも滑りにくい仕様になっています。用途は主にトレーニングの時などに使います。チームによっては低学年ではトレシューで練習も試合も行っています。

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スパイクに比べトレシューの方が足への負担が少ない作りになっています。ですから普段に履くとすればこのトレシューのタイプを選ぶことになります。

ただし、この2種類はどちらもサッカー用のシューズですから他のスポーツシューズとは違う特徴があるので履くときには注意しなければいけません。

サッカーシューズの特徴として、先ず挙げられるのはクッション性が悪いことです。用途として硬いアスファルトの上で使用することは想定されておらず、柔らかいグランドでの使用を前提としているので強いクッション機能は付いていないのです。

特にスパイクに関しては、ほとんどのモデルでクッションとなる柔らかい素材は使用されていません。トレシューに関してもクッション素材が付いているものとそうでないものが存在します。普段から履くとするなら、トレシューでもクッション性が高いモデルを選ぶということが重要になってきます。

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2つ目にシューズの素材として耐久性が高く軽い人工皮革を使用していることが多く、足に馴染みにくいということです。

その為、柔らかいメッシュの運動靴に比べると、足と形が合っていない部分への圧迫が強くなってしまいます。特にまだ力の弱い幼少期に着用させるときは要注意です。

3つ目は、足幅の細いモデルが多いということです。特に海外ブランドのものなどは細く作られています。当然、足に合わないことも多く、合っていないシューズを履くと足のトラブルの原因になることがあります。

ここまでは、サッカーシューズの問題点ばかりをいってきましたが、逆に良いところもあります。

例えば踵周りが固くて丈夫な作りのものが多いということです。踵周りがしっかりしていると運動するときはもちろん、普段でも足元が安定します。ここはプラスになるポイントです。

また、サッカーシューズは面ファスナーのベルトや紐で足にしっかり固定する機能に優れています。シューズをしっかり固定することは足のトラブル予防に重要な役割を果たします。これもプラスのポイントですね。

そして先ほどは足に馴染みにくいとデメリットとして挙げた人工皮革ですがシューズの素材として耐久性が高いというのはメリットでもあります。

毎日のように公園でサッカーをする子供も多いと思いますが、普通の運動靴でするとすぐにボロボロになって穴が開いてしまいます。その点、トレシューならアッパーはとても丈夫に作られているので安心です。

このような特徴を認識してもらい、買うときには販売店の店員さんと相談しながら用途目的や足に合ったモデルを探してもらえれば良いのではないでしょうか。

続いては普段履きとしてではなく、サッカーをする時に履く場合の注意点にも少し触れていきたいと思います。

サッカーシューズを選ぶ際に最も大切なのはサイズ選びです。特につま先のスペースはしっかりと確保し、シューズの先につま先が当たっていないか確認しましょう。

いくら紐でしっかりと締め、足がズレないようにしたとしても10mm程度はスペースを取っていただきたいと思います。

この「サイズ選び」を難しくする問題が2つあります。

1つ目は「子供の好み」問題です。例えば「新しく発売された〇〇〇の赤いのが欲しい」とか「○〇選手と同じモデルが欲しい」といった感じです。

そうなると足に合う合わないに関係なく、そのシューズありきで履けるサイズを探すことにあります。そのモデルが足に合えばいいのですが、合わなかった場合が問題です。

子供たちは自分の欲しいものを選びたいので履き心地に違和感があっても「大丈夫!」と言ってしまいます。これでは正しいサイズを選べませんし足にトラブルを起こす原因となってしまいます。それにサッカーのパフォーマンスも良くなりませんよね。

次に、「サッカーシューズは小さめを履くのが良い」という昔からの認識の問題です。サッカーの経験がある人なら聞いたことあるフレーズだと思います。

私がスポーツ店に子供のサッカーシューズを買いに行った時も、多くの店員さんは小さ目のサイズを薦めてきます。

子供が小さい時は足の成長期であることや、まだ強く紐を締められず激しく動くとつま先をシューズにぶつけてしまうことなどから、スペースはしっかりとるべきだと考えます。つま先にスペースを取ると靴の中で足がズレると言われます。

しかし、つま先以外の部分をシューズとぴったり合わせていけばフィット感は大きく変わり、靴の中でのズレも解消されます。

次にサッカーシューズで注意してもらいたいことは、靴底の擦り減り具合のチェックです。特にスパイクのポイントは硬めの土グランド等で使用していると、かなり早く擦り減っていきます。

それも均等に擦り減っていくならまだしも、多くの場合は不均等に擦り減ってしまいます。左右・内外・前後で大きく異なるのです。そうなると常にシューズが左右で異なり、斜めに傾いている状態になります。

それでは良いパフォーマンスも出来ませんし、怪我の原因になってしまいます。意外と見落としがちなので注意してください。

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最後に子供の時からサッカーシューズを履くことで起こる問題を話したいと思います。

一つはサッカーシューズのフィット感がその子の「靴」に対するフィット感の基準になりかねないということです。

やはりサッカーシューズは競技用なので少しタイトなフィッティングになります。子供のころから競技用のシューズを履くのなら、普段履きと競技用とではフィット感、サイズ感が違うということを理解してもらう必要があります。

次に、子供のころに間違ったサイズでプレーすることに慣れてしまうと、大きくなってからサイズ感を変えることがとても難しいということです。

例えそのサイズが足に大きな負担を与えているとしてもです。シューズのサイズを変えるとプレーに違和感が出てしまい、それを受け入れられないのです。プロの選手でもつま先にゆとりを持たせてフィッティングしている選手もいれば、全くゆとりのない選手もいます。

逆に足の実寸以上に小さいサイズを履く選手もいます。プロでもそれだけ違うのです。その多くは使い慣れたサイズ感からくるものだと思います。

そう考えると足にトラブルを起こしにくいサイズ選び、そしてその為のシューズの履き方などを小さい時から学び慣れ親しむことが重要だと思いませんか。

サッカーシューズはとてもカッコ良く子供たちにとても人気があります。特にトレシューに関しては普段履きとしても人気で、スポーツ店ではなく普通の子供靴売り場にも並んでいます。

しかし、トレシューであっても競技用のシューズだということは覚えておかなくてはなりません。また、サッカーシューズを選ぶ際には時間をかけてじっくり選ぶことが重要です。

先に述べたように、子供の好みによる要求を受け入れずに、説得することも必要になってきます。子供のころに覚えた感覚は良いも悪いも後々まで影響していきますので、丁寧に選んでいきたいですね。

サッカーは足を使うスポーツです。その大切な足を守ってくれるのはサッカーシューズです。しかし選び方を間違ってしまうと足を守るどころか、逆に足のトラブルの原因になってしまいます。

サッカーをする子供たちはサッカーシューズにも興味を持っています。

シューズの選び方や履き方などを丁寧に教えてあげれば楽しんで覚えていってくれます。

そういう機会が増えていけばサッカーシューズによる足のトラブルも減っていくでしょう。

そして子供たちにとってサッカーシューズが自分の足と靴に興味を持つ最初の一歩になるかもしれませんね。


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