コラム
プロフィール
上田暢彦
- NTT東日本伊豆病院皮膚科部長
- 東京医科歯科大学臨床准教授
- 皮膚科専門医
- 週に4回のフットケア外来にて平成26年度は年間1495人(延べ)を診察。
平成25年8月より人間ドックにフットチェックオプションを新設し、「足の健康診断」の確立に取り組んでいる。
足の健康診断「フットチェック」で見えてきたこと(2016/08/05)
私の勤務するNTT東日本伊豆病院では人間ドックのオプションとして「フットチェック」というものを実施しています。
当院フットケア外来スタッフの技術や知識を「足の健康診断」に活用しようという試みで、2013年8月から始めました。
①問診票記載 → ②医師による足の診察 → ③足型測定器による計測 → ④看護師による指導・アドバイス
という流れで、ひとりあたり15分から30分ほどのコースです。
診察・相談内容は水虫のチェック、外反母趾、タコウオノメ、冷えやむくみ、靴やインソールのアドバイスなど足に関わること広範囲の内容に対応しております。
2014年度は300人を超える受検者さんにフットチェックを受けていただきましたが、昨年フットチェック受検者さん100名を対象としたアンケートを実施しました。
その結果、満足度に関してはとても満足できた+満足できた=95%と、高い評価を得ることができました。
そのアンケートの中から、「フットチェックを受けて良かったこと」に対する回答を多い順にご紹介しますと、
①自分の足のサイズや特徴がわかった(42%)
②靴やインソールの選び方がわかった(20%)
③白癬や外反母趾などの疾患がみつかった(14%)
④足のトラブルの対処方法がわかった(14%)
等でした。
足型測定とその結果の説明が最上位にくる結果となり、自分の足のことを詳しく知りたい!という潜在的要望の高さを表しているといえます。
また、受検者さんに初めに書いていただく問診票にはフットチェックオプションの選択理由を問う項目があり、「自分の足の正確なサイズを知りたい」「水虫の有無をチェックしたい」「痛いところがある」「冷えやむくみがある」「合う靴が無くて困っている」「かかとのがさがさ・ひびわれ」など15項目の選択肢から複数選択可でチェックを入れていただいています。
それらの中で最も多いのが「自分の足の正確なサイズを知りたい」で、その次が「水虫の有無をチェックしたい」でした。
大半の方が複数の選択肢にチェックを入れており、アンケートの100名では平均3.5項目の選択肢にチェックされていました。
つまり、足に関する心配事・悩み事については複数抱えている方が多いのだと認識して、予め対応できるよう準備をすることが大切と考えました。
フットチェックを通じて受検者さんの感想・ご意見でよくいただくのは、今までは足の症状をどこで相談していいかわからなかった、あるいは相談したくても痛みは整形外科・水虫は皮膚科・靴は靴屋さんなど相談先がたくさんあって一括して相談出来るところが無かったというご意見です。
こういったご意見や先程のアンケートの結果をみて、「足の健康診断」に対するニーズは確実に高くあるのだなと実感します。
困っているけどどこは行けばいいのわからずそのままになってしまっている方は多いのです。
そういった方々がフットチェックに来ていただければ足病変のスクリーニングができて、知識提供や指導をすることで今後の治療・予防にもつながります。
さらに将来的には足の健康診断「フットチェック」が一部の方のみのオプションメニューでなく、一般的な健康診断の項目のひとつとして実施される社会を目標としております。
そしてそのためのフットチェックのあり方・方法論を模索する毎日です。
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